宇宙航空研究開発機構、一般にはJAXAの名称で呼ばれ、その事業内容から日本版NASAとも言われる組織です。
H2Aロケットは世界的な評価も高く、JAXAのロケット研究開発能力の高さを示しています。
日本国内の組織で宇宙航空分野の研究開発でトップの規模を誇るJAXAは、同分野に関心を持たれている方にとって、人気の就職・転職先です。
この記事では、JAXAの平均年収や求める人材など、転職を考えられている方に必要な情報をご紹介します。
JAXAの平均年収
JAXAの給与は独立行政法人通則法によって定められており、「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の役職員の報酬・給与等について」において、給与額などが詳細に公開されています。
上記の資料で、JAXAの常勤職員の平均年収は875万円と公開されており、国税庁の調査による令和元年民間給与実態統計調査によると、国内労働者の平均年収は436万円となっており、JAXAの平均年収は、国内平均年収の2倍程度の収入になります。
昇給は年1回、10月に行われ、賞与は6月と12月に支給されます。
賞与の支給額は、平均年収875万円の場合、249万円となり、4.8か月分が支給されます。
JAXAの給与体系は、国家公務員の給与体系に準じたもので、年次が長くなるほど、給与が上がる年功序列式の給与体系となっています。
JAXAの職種・役職・年代別の平均年収
JAXAの平均年収を職種・役職・年代別に公開されている資料を基にご紹介します。
職種別の平均年収
JAXAの職種の中で、配属人員が多い下記の職種の平均年収を表にまとめました。
職種 | 平均年収 | ||||
---|---|---|---|---|---|
事務・技術職 | 853万円 | ||||
研究職 | 869万円 | ||||
教育職 | 994万円 |
公開された資料によると、教育職が最も年収が高くなっています。
これは事務・技術職と研究職の平均年齢が45歳前後なのに対し、教育職の平均年齢が51.9歳となっていることから、年収の差は年次によるものと考えられます。
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役職別の平均年収
役職別の年収はこのようになります。
<事務・技術職>
役職 | 平均年収 | 最低額~最高額 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
本部部長 | 1,241万円 | 982~1,442万円 | ||||||
本部課長 | 1,067万円 | 829~1,396万円 | ||||||
本部課長補佐 | 827万円 | 625~1,068万円 | ||||||
本部係長 | 626万円 | 321~733万円 |
<研究職>
役職 | 平均年収 | 最低額~最高額 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
本部部長 | 1,254万円 | 1,102~1,419万円 | ||||||
本部課長 | 1,102万円 | 877~1,301万円 | ||||||
本部主任研究員 | 863万円 | 652~1,141万円 |
教育職の役職者の情報は無かったため、上記2つの職種の役職者の平均年収と収入の幅をまとめています。
平均年収はどちらの職種も大きく変わりはありませんが、事務・技術職の年収の幅が研究職と比べて大きいことが、この表から分かります。
年代別の平均年収
年代別の平均年収は、このようになります。
年代 | 平均年収 | doda調べ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20代 | 410~500万円 | 348万円 | ||||||
30代 | 550~700万円 | 444万円 | ||||||
40代 | 700~950万円 | 510万円 | ||||||
50代 | 1,000~1,300万円 | 613万円 |
JAXAの年収は、20代から、doda調べの年代別の平均年収よりも上回っています。
JAXAの院卒・大卒の年収(初任給)
JAXAの公開されている学歴別の初任給を参考に年収を算出しました。
学歴 | 初任給 | 想定年収 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
博士修了 | 269,800円 | 4,532,640円 | ||||||
修士修了 | 222,000円 | 3,729,600円 | ||||||
大学学部卒 | 202,100円 | 3,395,280円 | ||||||
短大・専門学校卒 | 179,900円 | 3,022,320円 |
Jaxaが公開している給与などの待遇を基に算出しました。
こちらは初任給×12か月分、賞与を4.8か月分で計算した想定年収です。
この他に各種手当がつくため、実際の年収はこの表よりも上回ると考えられます。
修士了の新卒初年度の年収は、、220万円~270万円ほどであり、大卒の初年度の年収は200~250万円前後と言われています。
このため、JAXAの新卒初年度の年収は学歴ごとの初年度平均年収と比較して高収入であることが、こちらの表からわかるでしょう。
JAXAは激務?労働環境や社風について
JAXAの事業である宇宙航空分野の研究開発は激務なのでしょうか。
労働環境や社風についてまとめました。
部署によっては激務のケースもある
2019年度の実績で平均残業時間は19.0時間であり、1日に1時間残業する程度という計算になります。
休暇制度も複数あり、休暇制度の取得率は67.5%、女性の出産・育児からの復職率は100%となっています。
また、男性の育児休業取得率は12%、特別休暇取得65%とワークライフバランスが取りやすい環境であるようです。
しかし、部署による落差が激しく丁寧に仕事を教えてもらえる部署もあれば、自分で仕事を覚えていく必要がある部署もあり、そのような部署は激務と捉えられる可能性もあるでしょう。
働き方が多様である
フレックスタイム制度や裁量労働制、リモートワークができる職員は一部の部署・職員だけだったようですが、2017年4月から全職員が対象となり、総職員数1,575名中1,546名がフレックスタイム制度を利用して、自分に合った働き方をされています。
口コミには、強制的にワークライフバランスを取り入れているため、部署によって、その動きに追い付いていないというものがありました。
改善の余地はあるようですが、働き方の多様性・仕事とプライベートが両立できる体制を組織として目指していることから、さらに働きやすい環境が整っていくことも考えられるでしょう。
JAXAの年収は文系と理系で異なる?
独立行政法人経済産業研究所によると、文系出身者の年収:559万200円、理系出身者の年収:600万9,900円と記載されており、理系出身者の平均年収が高いとの調査結果が発表されています。
JAXAは事業内容が宇宙航空分野の研究開発のため、理系の方が有利と思われますが、実際にはどうなのか、公表されている資料からまとめました。
文系出身者が多い職種の年収
JAXAの常勤職員1,368名中404名、29.5%が事務・技術職として採用されています。
事務・技術職の平均年収は、853万円(賞与244万円含む)、平均年齢は45.2歳となっています。
また、本部係員(125名)の平均年収は、385万円(321~733万円)、平均年齢は39.1歳。
事務・技術職の最高位である、本部部長(42名)の平均年収は、1,241万円(982~1,442万円)、平均年齢56.1歳。
184名と最も人員数が多い本部課長補佐という役職では、平均年収827万円(625~1,068万円)、平均年齢47.2歳。
本部係員の平均年収は、国内平均年収を下回るものの、年次によって十分な収入を得ることが可能なようです。
理系出身者が多い職種の年収
JAXAは事業内容が研究開発であるため、研究職者は1,368名中849名と、62%の職員が研究職で占められています。
研究職の平均年収は、869万円(賞与246万円含む)、平均年齢は44.5歳。
研究員(240名)の平均年収は、556万円(380~756万円)平均年齢32.3歳。
最も人員数が多い役職の本部主任研究員(364名)の平均年収は、863万円(652~1,141万円)
研究職の最高位である本部部長(46名)の平均年収は、1,254万円(1,102~1,419万円)
平均年齢56.1歳。
研究職の待遇はこのようになっており、初めにご紹介した出身別平均年収を超える収入を得られているようです。
JAXAに転職するために知っておくべきこと
JAXAが求める人材像と転職難易度についてまとめました。
JAXAが求める人材像
JAXAの人事担当理事である鈴木和弘氏は、ホームページの採用情報内で求める人材像について語られています。
“自ら提案し、実現する意欲と能力を持つ人材を”
JAXAが求める人材像は、このようになっています。
また、鈴木氏はインタビューの中で、“宇宙航空分野に限らず、幅広い分野から多様な人材” とも語られており、宇宙航空分野に関する研究開発を行うための専門的な知識を持った人材だけでなく、そのような知識を持っていなくても、JAXAの事業である宇宙航空分野に対して高い関心を持ち、自分の強みを活かし挑戦し続けることができる人材を求めています。
JAXAへの転職難易度
JAXAへの転職難易度は非常に高いと考えて良いでしょう。
JAXAは複数の職種の募集がありますが、どの職種も採用人数は1名、多くて数名です。
職種によって異なりますが、一定の経験と修士課程修了レベルの能力や複数の資格が必須となることもあります。
応募条件が厳しいこともありますが、宇宙航空分野の研究・開発を行うJAXAに憧れを持って転職を希望する方も多く、転職難易度は非常に高いと考えられるため、入念な転職対策を行うことが大切です。
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JAXAは平均年収は875万円と、国内平均年収の2倍、宇宙航空分野で働きたいと思われている方にとって仕事内容、待遇ともに理想の転職先と考えている方も多いでしょう。
このため、転職難易度は非常に高いと予想され、事前の情報収集など入念な対策が必要です。
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まとめ
JAXAへ転職する際に必要な情報をご紹介しました。
JAXAは国立研究開発法人で最大規模の組織で、三菱重工と共同開発した世界的な評価も高いH2Aロケットの開発・運用が成功したことでJAXAの評価も上がっています。
部署によって、差はあるものの、ワークライフバランスにも優れ、文系・理系問わず、高い収入が期待できるため、転職先として志望する方も多いでしょう。
JAXAの事業に興味があるのであれば、まずはご自分の経験・スキルが活かせる職種がないか確認しましょう。
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