毎年発表される年収ランキングで常に上位に位置するキーエンス。
ランキングには顔を出すものの事業内容など、あまりその実態が知られていない企業でもあります。
こちらの記事ではキーエンスの事業や働き方、年収などを調べてみました。
転職を検討されている方に参考として頂ければ幸いです。
キーエンスの平均年収は?
キーエンスの平均年収は1,800万円以上と言われ、年収ランキングの上位に位置しています。
この平均年収額は社長や役員、管理職以上の役職者の平均ではなく、新入社員を含めた全社員約6,600人の平均年収です。
キーエンスは、企業の年収ランキングで常に上位に位置しているため、名前をご存じの方も多いのではないでしょうか。
規格外ともいえる報酬から、キーエンスを外資系企業と思われるかもしれませんが、キーエンスは自動制御機器や計測機器の開発・販売を行う日本の企業です。
創業は1974年と比較的若い会社です。
創業から半世紀を満たないキーエンスが、どのようにして日本でも屈指の報酬を誇る企業になれたのでしょうか。
これほど高い報酬が支払われる企業だと激務を想像しますが、実際はどうなのでしょうか。
これらについて、後ほど説明します。
キーエンスの平均年収推移は?
キーエンスの平均年収や売上高等、過去5年まで遡って調べました。
年度 | 売上高 | 平均年収 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016年 | 3,793億円 | 1,756万円 | ||||||
2017年 | 4,127億円 | 1,862万円 | ||||||
2018年 | 5,268億円 | 2,089万円 | ||||||
2019年 | 5,871億円 | 2,111万円 | ||||||
2020年 | 5,518億円 | 1,839万円 |
2016年から2019年まで売上高は前年を上回り、それと共に平均年収も前年平均を上回っています。
しかし、2019年、5,871億円だった売上高が2020年には5,518億円と353億円ほど、落ちると共に平均年収も272万円ほど下がっており、キーエンスは業績が年収に直結する業績連動型の給与制なのが、この表から判断することができます。
また、厚労省の調べで労働者の平均年齢は43.1歳との調査結果があり、キーエンスの平均年齢は2016年からの5年間で平均すると35.7歳と7.4歳も下回っており、若い世代が活躍している企業であることも、この表から分かります。
この厚労省の調べでは、平均勤続年数も12.4年と公表されています。
キーエンスの平均勤続年数は、上記の表の5年平均で12.1年。
調査とほぼ同程度ですが、年齢が7.4歳若い35.7歳で平均勤続年数が12.1年だとほとんどの社員が新卒から働いていることになり、キーエンスの社員の方の多くは新卒から勤められている生え抜きであると考えられます。
キーエンスの役職別平均年収
最高年収ではなく、平均年収が1,800万円を超えるキーエンス。
全体の平均年収が、これほど高額だと役職者の年収はどの程度になるのでしょうか。
役職 | 平均年収 | ||||
---|---|---|---|---|---|
係長 | 2,000万円 | ||||
課長 | 2,700万円 | ||||
部長 | 3,400万円 |
主任になると平均年収よりも約200万円高い年収となります。
課長職では約900万円高い年収となります。
部長職だと約1,600万円もの収入差がつくようです。
キーエンス全体の平均年収が約1,800万円ですので役職に就くと平均年収を超えるのは当然と言えば当然ですが、課長職で2,000万円台後半。
部長職になると年収が3,000万円を超えます。
他社の社長級の年収水準とも言えます。
これほど高い報酬には、キーエンスが採用している独自のボーナスシステムが関係しています。
営業利益の10%を社員に還元させるキーエンスのボーナスは3か月ごとに支給されます。
役職者への支給額は大きくなるため、このボーナスで年収差が広がります。
結果を残すことが出来る優秀な方であれば学歴や年齢、新卒・中途社員に関係なく昇進が可能であり昇進すれば、その役職毎に報酬が与えられます。
昇格しても結果を残してないと判断された場合、キーエンスでは降格が珍しいことではないようです。
キーエンスの年齢別平均年収
キーエンスは年齢によって、どのように年収が上がっていくのでしょうか。
年代毎の年収の推移と日本の平均年収との比較です。
国内平均年収は国税庁による民間給与実態統計調査結果を参考にしました。
年齢 | キーエンス平均年収 | 国内平均年収 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20〜24歳 | 330万円 | 270万円 | ||||||
25〜29歳 | 1,420万円 | 370万円 | ||||||
30〜34歳 | 1,580万円 | 410万円 | ||||||
35〜39歳 | 1,630万円 | 450万円 | ||||||
40〜44歳 | 1,830万円 | 480万円 | ||||||
45〜49歳 | 2,050万円 | 500万円 | ||||||
50〜54歳 | 2,200万円 | 530万円 | ||||||
55〜59歳 | 2,180万円 | 520万円 | ||||||
60〜65歳 | 2,180万円 | 420万円 |
上記の表を確認するとキーエンスでは25~29歳で年収が1,000万円台に到達していることが分かります。
役職者の平均年収でも触れましたがキーエンス独自のボーナスシステムが年収を後押ししています。
ボーナス額が高いと初任給・基本給も高いと思われるかもしれませんが、キーエンスは1年目の初任給や基本給はそれほど高くありません。
新卒者の初任給は多くの企業とそれほど変わりなく1年目はキーエンス独自のボーナスの支給対象外ですので、20~24歳の年収は他の年代に比べて低くなっています。
多くの企業ではボーナスは年2回が通常なので3か月ごとに支給されるボーナスは魅力です。
また、キーエンスではボーナス以外に売上に応じた業績が毎月の給与に加算されるシステムも採用されています。
売上を伸ばせば伸ばすほど自身の給与が増え、3か月ごとにボーナスも支給される仕組みです。
会社全体の営業利益の10%を社員全員にボーナスとして還元し、個々の社員が出した売上が毎月の給与に反映されます。
これ以外にも給与の等級が9段階あり業績によって毎年変動します。
キーエンスと競合他社との平均年収比較
キーエンスと競合他社となるパナソニック・ソニー・日立製作所・富士通・三菱電機を比較しました。
企業名 | 設立年度 | 売上高 | 平均年収 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
キーエンス | 1974年 | 5,518億円 | 1,839万円 | ||||||||
パナソニック | 1918年 | 7兆4,906億円 | 742万円 | ||||||||
ソニー | 1946年 | 8兆2,599億円 | 1,051万円 | ||||||||
日立製作所 | 1910年 | 8兆7,672億円 | 894万円 | ||||||||
富士通 | 1935年 | 3兆8,577億円 | 804万円 | ||||||||
三菱電機 | 1921年 | 4兆5,199億円 | 817万円 |
競合他社との比較は上記の表のようになりました。
売上高だと、キーエンスは競合他社の中で最も低く、売上高が最も高い日立製作所と比べると、16分の1近くになります。
しかし、平均年収では他社を圧倒し、2番目に年収が高いソニーに800万円近く差をつけています。
これは売上高の10%を社員に還元する独自のボーナスシステムが、この年収差を生み出したと言えるでしょう。
平均勤続年数も、この表の中では最も低い年数ですが、先にご紹介したようにキーエンスは社員の平均年齢が35.6歳と若いため、社員の平均年齢が40代になる他社と比べると長くなれないという点があるため、キーエンスが長く勤めにくい会社ということではありません。
独自のボーナスシステムと業績が給与に加算されるシステム、給与の等級が社員のモチベーションアップに繋がっています。
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キーエンスの年収が高い理由
キーエンスの給与・ボーナスのシステムをご説明しましたが、キーエンスではなぜ、その高い年収が実現できるのでしょうか。
営業利益率が高い
キーエンスはほぼ毎年、営業利益率50%を超える結果を残しています。
同業種における日本を代表する企業の一つ、パナソニックの営業利益率は毎年5%前後を推移していることからキーエンスの営業利益率がいかに高いかが分かります。
この高い営業利益率を維持し続けることが出来る理由の一つはキーエンスがファブレスメーカーであるからです。
ファブレスメーカーとは、自社工場を持たない業態のことです。
自社工場を持たないことで設備投資にかかるコストが不要となり、設計や開発、販売に注力することが可能となります。
世界中にクライアントを持つ
キーエンスは世界46カ国に200を超える拠点を持ち、全世界で様々な分野の企業約25万社でキーエンスの製品が採用されるなど世界規模で事業を展開しています。
2019年3月期の海外売上高は対前年比で11%伸びており、売上高の伸びから見ても全世界のクライアントから信頼を得ていることが分かります。
これほどの規模で事業を展開するキーエンスは報酬以外でも魅力ある企業でしょう。
グローバルダイレクトセールスを取り入れている
キーエンスが採用しているグローバルダイレクトセールス。
これは代理店や販社を挟まずに直接販売を行うシステムです。
企業間の取引は代理店や販社を挟むことが一般的ですが、この方法だと顧客のニーズを把握することが難しくなります。
キーエンスは専門知識を持った営業担当者が顧客と直接、接することでニーズを理解し最適な解決策を提案しています。
キーエンスの新製品の7割は世界初・業界初とされることから他社との価格競争に巻き込まれることがなく、言い値で販売出来るのも高い利益率の理由です。
ファブレスメーカーで世界中に顧客を抱えグローバルダイレクトセールスを行う。
これにより、キーエンスは過去25年間年間成長率10%を維持し続けています。
■キーエンスの福利厚生制度と休暇について(400字程度)
どのような福利厚生制度があるのか。休暇制度はどのようになっているかも転職時に確認しておくべき点です。
キーエンスの福利厚生・休暇制度について調べました。
福利厚生制度 | 内容 | ||||
---|---|---|---|---|---|
休暇 | 週休二日制(土日、年2回土曜出勤あり)祝日、夏季休暇、年末年始休暇、年次有給休暇、慶弔休暇、特別休暇 | ||||
育児・介護 | 産前産後休暇、育児休業制度、時短勤務制度 | ||||
財産形成・共済制度 | 従業員持株制度、財形貯蓄、確定拠出年金 | ||||
諸手当 | 時間外勤務手当、通勤手当、地域住宅補助(条件あり)、リフレッシュ手当 | ||||
各種保険 | 健康保険、介護保険、厚生年金、労災保険 | ||||
その他 | 慶弔金、出産祝い金、傷病見舞金等、各種研修制度 |
このようにキーエンスの福利厚生は充実しています。
住宅手当に関してキーエンスに社宅はありませんが賃貸物件を会社が借上げることで社宅とし異動によって、転居が必要な際は敷金・礼金・契約にかかる手数料なども会社が負担するなど社員の経済的負担を軽減させる制度を採用しています。
この他に、修制度も充実しており、実務で必要とされるスキルを磨ける研修が豊富にあり語学研修も用意されています。
キーエンスは激務?
高い営業利益率と年収を誇るキーエンス。
では、労働環境はどうなのでしょうか。
キーエンスは30代で家が建ち40代で墓がたつ。など激務を表現する言葉がある一方で休みもあってホワイトと言う方もいます。
実際はどうなのでしょうか。
仕事量は多い?
キーエンスで営業職として勤められていた方の話では、1日に60件ほどの営業の電話をかけ2割前後の12~14件ほどのアポを取り付けます。
翌日と翌々日でアポを取った先へ訪問する。1日社内で電話営業。2日間で営業先を回る。
このルーティンワークをハイペースでこなしていくようです。
残業・休日はどのくらい?
キーエンスでは21:30以降の残業禁止。土日はちゃんと休める労働環境のようです。
平日は仕事漬けで忙殺されると言っても過言ではないようですが、残業は上記の21:30までで土日出勤もあるようですが頻度は低く基本的に休日だそうです。
ゴールデンウィークやお盆。年末年始などは長期休暇があり、休日に連続出勤することは禁止されていることから、オンとオフはハッキリしているようです。
クビになることもある?
キーエンスでは、よほどの問題を起こさない限り解雇されるようなことはないようですが、自ら退職する方は多いようです。
キーエンスでは、仕事の進め方のルーティンがあり新卒からベテランまで同じ仕事をします。
システム化された失敗の少ない方法ですが、人によっては同じことの繰り返しに苦痛を感じ自主退職をされるようです。
しかし、退職された方もロジカルな仕事の進め方をキーエンスで学んだとポジティブに考えられている方が多くいらっしゃいます。
キーエンスに就職するために知るべきこと
では、キーエンスという企業が求める人材とはどのような人なのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
キーエンスが求める人材像
キーエンスの公式サイトには大切にしている考え方として、
■ 最小の資本と人で、最大の付加価値をあげる。
■ 「目的意識」を持って、主体的に行動する。
■ 「市場原理・経済原則」で考える。
という言葉があります。
それぞれの言葉から求める人材像を考えていきましょう。
最小の資本と人で、最大の付加価値をあげる
キーエンスの経営の原点で目指す理想です。
最小の投資と人で最大の付加価値をあげるために必要なのは創意工夫です。
あれが無い。これが無い。と、出来ない言い訳を考えるのではなく、あるもので最大の結果を出すために何が出来るのかを考えることが重要です。
このように創意工夫が出来る人材が求められています。
「目的意識」を持って、主体的に行動する
この仕事を何のためにしているのかを考え、常に主体性をもって行動することが大切です。
目的意識を忘れず、自分ならどうするか自問自答を繰り返し主体的に行動出来る人材が求められています。
「市場原理・経済原則」で考える
論理的な思考をするには原理原則を理解する必要があります。
これを意識することで人によって判断のブレを生じにくくさせることが出来ます。
社員全員がこの考えを意識・共有することで、経験の浅い新人にも仕事を任せられるようになります。
このように原理原則を考え、論理的な思考が出来る人材が求められています。
この三つの考えがキーエンスの全ての社員が共有する考え方です。
創意工夫が出来て主体的に行動し論理的な思考が出来る人材。
それらを兼ね備えて意欲的に仕事に取り組む人材こそがキーエンスが求める人材像です。
キーエンスに就職するには学歴も必要?
高収入でグローバルに事業を展開するキーエンス。
一般的にこのような大手企業では高学歴とされる学生を採用する傾向が高いですが、キーエンスはどうでしょうか。
結論から言うとキーエンスは学歴にこだわりません。
採用者の出身大学を見ると、東大、京大、一橋大学、神戸大、早稲田、慶応、上智など高学歴とされる大学出身者が多いのは事実ですが、これはキーエンスがそれらの大学に絞って採用しているわけではありません。
一般的に中堅とされる大学の学生の採用実績も多数あります。
キーエンスでは学歴を重視した採用は行わず、就職希望者自身をしっかり確認した採用を行っています。
それが過去の採用実績から読み取ることが出来ます。
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■ 自分の今までの経験から、転職が可能な会社はどんなところがあるのか?
■ もっといい会社は他にあるのか?
■ 自分にとって、どの会社への転職がベストなのか?
■ どのエージェントに相談すればいいのか?
転職を検討される際、このような不安があるのではないでしょうか。
また、このまま今の転職エージェントに任せていて良いのだろうかと不安になっていくことがあるかもしれません。
「自分のキャリアとほぼ同じ人がこの企業への転職に成功している」
こういった実際の転職実例を自身で確認することが出来れば、より自信を持って転職活動に挑めるのではないでしょうか。
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まとめ
今回はキーエンスについてご紹介しました。
キーエンスは独自の顧客との間に代理店や販社を挟まない直接販売、ファブレス経営など徹底的に無駄を省いた経営スタイルが特徴です。
さらにシステム化したルーティンワークによって、新卒の社員からベテランまで結果を残せる仕事の仕組みがあり、高い営業利益と高収入を実現しています。
成果主義・実力主義の企業であるため、効率よく業績を残せればキーエンスは業績に合わせた報酬を約束してくれます。
結果を確実に残すことが出来れば学歴や転職による中途採用者も関係なく昇進も期待できます。
そういった点ではキーエンスほど良い会社はないかもしれません。
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