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退職はいつ伝える?民法627条の2週間と伝え方【2026年】
結論
期間の定めのない雇用は、申し入れから2週間で退職できる(民法627条)。転職者の81.3%は自己都合で前職を離れている(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」)。伝える日は就業規則の申出期間・有給・引き継ぎから逆算して決める。
想定読者28〜40歳・在職中に転職活動をしている会社員。内定が出て、現職にいつ・どう退職を伝えるか決めたい人
期間の定めのない雇用契約は、退職の申し入れから2週間を経過すれば終了する(民法627条1項)。就業規則に「1か月前まで」などの定めがあっても、この2週間を就業規則で延ばすことはできない(厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A)。一方で、転職者の81.3%は自己都合で前職を離れており(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」表10)、円満に退職して次の会社に移るには、法律の最短日数ではなく、就業規則の申出期間・業務の引き継ぎ・年次有給休暇の消化から逆算して伝える日を決めるのが実務だ。
退職の時期を決める数字
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 期間の定めのない雇用の退職 | 申し入れの日から2週間を経過して終了 | 民法627条1項 |
| 期間の定めのある雇用(1年超の契約) | 契約初日から1年を経過した日以後はいつでも退職できる | 労働基準法137条 |
| 期間の定めのある雇用(やむを得ない事由) | 直ちに解除できる(自分の過失による事由なら損害賠償) | 民法628条 |
| 就業規則の申出期間 | 民法の2週間を就業規則で延長することはできない(合意退職の申込期限として2週間超を定めることは可能) | 厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A |
| 退職時の証明書 | 請求があれば遅滞なく交付 | 労働基準法22条1項 |
| 賃金・金品の返還 | 請求から7日以内 | 労働基準法23条1項 |
| 年次有給休暇(令和6年1年間、労働者1人平均) | 付与18.1日・取得12.1日・取得率66.9% | 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」第5表 |
| 自己都合退職の給付制限 | 原則1か月(退職日が令和7年4月1日以降) | 厚生労働省 雇用保険Q&A |
| 離職理由が自己都合の割合 | 81.3%(令和7年) | 厚生労働省「令和7年転職者実態調査」表10 |
いつ伝えるか:法律は2週間、就業規則は1か月前の例もある
民法627条1項は「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」とし、雇用は申し入れの日から2週間を経過することによって終了すると定める。茨城労働局のQ&Aは、退職が伝わった日の翌日から起算して14日が経過すれば法律上退職は成立すると説明している。
月給制でも労働者側の予告期間は2週間だ。627条2項・3項の「次期以後」「3か月前」の規定は、条文上「使用者からの解約の申入れ」に限って適用される。
就業規則の定めは別に確認する。厚生労働省の「スタートアップ労働条件」は、民法の予告期間を就業規則等で延長することはできないとしつつ、合意退職の申込期限として2週間を超える期間を定めることは可能だと説明する。茨城労働局は、1か月前までの申出のように社会通念上著しく長期間でない定めがあれば、まず就業規則に沿って申し出るよう勧めている。法律上の最短と、会社の運用上の期限は分けて考える。
逆算の手順:入社日・就業規則・有給・引き継ぎ
伝える日は退職日から逆算して決める。固定するのは、入社先と合意した入社日、就業規則の申出期間、年次有給休暇の残日数、引き継ぎに要する日数の4つだ。
年次有給休暇は請求した時季に与えるのが原則で、事業の正常な運営を妨げる場合に限り他の時季に変更できる(労働基準法39条5項)。令和6年の1年間に労働者1人に付与された年休は平均18.1日、取得は12.1日で、取得率は66.9%(厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」)。企業規模1,000人以上で69.0%、30〜99人で64.9%と、規模が小さいほど低い。残日数が多い人ほど、消化に必要な日数を退職日の前に置くために早く伝える必要がある。
有期契約の人は契約期間を確認する。1年を超える有期契約を結んだ労働者は、契約期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ればいつでも退職できる(労働基準法137条。高度な専門的知識を持つ人や満60歳以上の人の契約は除く)。1年以内でも、やむを得ない事由があれば直ちに解除できるが、事由が自分の過失によるときは損害賠償の責任を負う(民法628条)。
誰に、どの順で伝えるか
最初に伝える相手は直属の上司で、口頭で面談の時間を取る。同僚や取引先より先に上司に伝えるのは、引き継ぎの段取りを組む権限が上司にあるからだ。面談では退職の意思と希望する退職日を先に言い、理由は短く添える。理由の言い方は面接の退職理由の伝え方と同じで、不満を並べず事実だけを述べる。
口頭で伝えた後は書面を出す。退職願は会社の承認を求める書式、退職届は退職の意思を通知する書式で、就業規則が「退職願」の提出を求めていればそれに合わせる。書面には提出日、退職日、所属、氏名を書き、理由は「一身上の都合」でよい。
転職活動と重なる人は、内定を承諾してから現職に伝える順番が安全だ。内定を辞退する場合の法律上の位置づけは内定辞退の伝え方に書いた。
退職日までに確認すること:証明書・賃金・雇用保険
退職時に証明書を請求すれば、会社は使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由について遅滞なく交付しなければならない(労働基準法22条1項)。請求しない事項を記入することはできない(同条3項)。
退職後に賃金や積立金などの金品を請求した場合、会社は7日以内に支払い・返還する義務がある(労働基準法23条1項)。最終給与の支給日が通常の給料日より後になる場合でも、請求すれば7日以内が基準になる。
次の職が決まっていない人は雇用保険の給付制限を見ておく。退職日が令和7年4月1日以降の自己都合退職は、受給手続日から7日の待期を経た翌日から原則1か月の給付制限があり、退職日から遡って5年間に2回以上の自己都合退職で受給資格決定を受けていると3か月になる(厚生労働省 雇用保険Q&A)。
伝え方の例文
口頭(上司への切り出し):「ご相談があります。一身上の都合により、◯月◯日付で退職したいと考えています。引き継ぎの段取りを含めてご相談させてください。」
退職願(本文):「私儀、一身上の都合により、来る令和◯年◯月◯日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」
退職届(本文):「私儀、一身上の都合により、令和◯年◯月◯日をもって退職いたします。」
いずれも理由の詳細は書かない。退職理由を聞かれたときに答える内容と、転職先に伝える内容が食い違わないようにしておく。自己都合で離職した転職者の理由は「賃金が低かったから」25.5%、「会社の将来に不安を感じたから」25.2%、「満足のいく仕事内容でなかったから」24.7%が上位で(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」表11、3つまでの複数回答)、多くの人が同じ理由を抱えている。伝える場では、この種の不満を理由に挙げるより、退職日と引き継ぎの話に時間を使うほうが話が進む。
出典・データの取り方
- 民法 第626条〜第628条(e-Gov法令検索):627条1項:期間の定めのない雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了。2項・3項は使用者からの解約の申入れに適用。628条:やむを得ない事由があるときは直ちに解除でき、過失による事由なら損害賠償。626条:5年超の契約は労働者は2週間前の予告で解除
- 労働基準法 第22条・第23条・第39条・第137条(e-Gov法令検索):22条:退職時の証明書は請求があれば遅滞なく交付、請求しない事項は記入不可。23条:請求から7日以内に賃金支払い・金品返還。39条5項:年休は請求した時季に与え、事業の正常な運営を妨げる場合は他の時季に変更可。137条:1年超の有期契約は初日から1年経過後いつでも退職可(14条1項各号=高度な専門的知識等を有する労働者・満60歳以上の労働者との契約を除く)
- 厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A 解雇と合意退職・辞職の違い:民法627条の予告期間(2週間)を就業規則等で延長することはできない。合意退職の申込期限として2週間を超える期間を定めることは可能
- 茨城労働局 よくあるご質問「会社を辞めたい」:退職が伝わった日の翌日から起算して14日が経過すれば法律上退職は成立。1か月前までの申出など社会通念上著しく長期間でない就業規則の定めがあれば、まず就業規則に沿って申し出る
- 厚生労働省「令和7年転職者実態調査」結果の概況(2026年9月25日公表):表10 直前の勤め先の離職理由:自己都合81.3%・契約期間の満了4.7%・倒産・整理解雇等3.3%・定年1.6%。表11 自己都合離職の主な理由(3つまでの複数回答):賃金が低かったから25.5%・会社の将来に不安を感じたから25.2%・満足のいく仕事内容でなかったから24.7%。令和7年10月1日現在
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」結果の概況(2025年12月19日公表):第5表 年次有給休暇の取得状況(令和6年1年間、労働者1人平均):付与日数18.1日・取得日数12.1日・取得率66.9%(前年65.3%)。企業規模別:1,000人以上69.0%・300〜999人66.8%・100〜299人65.5%・30〜99人64.9%
- 厚生労働省 Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)〜:自己都合退職の給付制限:受給手続日から7日経過した日の翌日から、退職日が令和7年4月1日以降は原則1か月(3月31日以前は原則2か月)。退職日から遡って5年間に2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合は3か月
| 2026年11月5日 | 初出 |