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転職の内定辞退の伝え方・メール例文:民法627条【2026年】
結論
転職の内定辞退は法律上できる。内定承諾後でも民法627条1項の解約申入れから2週間で労働契約は終了する(e-Gov法令検索「民法」、2026年11月時点)。厚生労働省の解説では、合理的な理由のない辞退は損害賠償を問われる場合があるが、就労を強制されることはない。決めた日に電話し、同じ日にメールで残す。
想定読者25〜39歳・年収400〜800万円・複数の選考を並行していて、内定承諾の前後で辞退を伝える順序と文面に迷っている人
転職の内定辞退は法律上できる。内定承諾後でも、民法627条1項の解約申入れから2週間で労働契約は終了する(e-Gov法令検索「民法」、2026年11月時点)。厚生労働省の解説では、採用内定は始期付・解約権留保付の労働契約とされ、合理的な理由のない辞退は損害賠償を問われる場合があるが、働くことを強制されることはない。法的な位置づけを条文と厚生労働省の解説で確かめ、伝える順序とメールの文面を示す。
内定辞退の法的な位置づけ:条文と判例
転職の内定は、企業が採用を通知し応募者が承諾した時点で、労働契約が成立していると扱われることが多い。厚生労働省の労務管理サイト「スタートアップ労働条件」は、採用内定を「始期付で、採用内定取消事由に基づく解約権が留保された労働契約」と説明し、根拠に最高裁の大日本印刷事件判決(昭和54年7月20日)を挙げる。契約が成立している以上、辞退は契約の解約にあたり、次の条文が当てはまる。
| 根拠 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 民法627条1項 | 期間の定めのない雇用は、各当事者がいつでも解約を申し入れることができ、申入れの日から2週間で終了する | e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号) |
| 民法628条 | 期間の定めのある雇用でも、やむを得ない事由があれば直ちに解除できる。事由が一方の過失によるときは損害賠償の責任を負う | 同上 |
| 最高裁判決 昭和54年7月20日(大日本印刷事件) | 採用内定により、始期付・解約権留保付の労働契約が成立していると認められることが多い | 厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A |
| 職業安定法5条の3 | 求人者は募集の際に業務内容・賃金・労働時間その他の労働条件を明示し、変更する場合は変更後の内容も明示する | e-Gov法令検索「職業安定法」(昭和22年法律第141号) |
| 労働基準法15条 | 使用者は契約締結時に労働条件を明示する。明示された条件が事実と違えば、労働者は即時に契約を解除できる | e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号) |
同じQ&Aは、労働者側の内定辞退について、合理的な理由がなければ契約違反となり損害賠償責任を問われる場合があるとしつつ、労働契約の履行を強制することはできないため、責任は損害賠償にとどまると説明する。内定承諾書に署名していても枠組みは同じで、承諾は契約成立を示す事実にすぎない。内々定の段階はさらに緩く、同Q&Aは、内々定は労働契約の成立に至っていない場合が多く、辞退は憲法22条1項の職業選択の自由から原則として違法とは考えにくいとする。
伝える順序:決めた日に電話し、同じ日にメールで残す
手順は4つで済む。第一に、辞退を決めた当日に採用担当者へ電話で伝える。企業は内定を出した時点で他の候補者への連絡や配属の準備を進めており、日を置くほど相手の損失が大きくなる。第二に、同じ内容をメールで送って記録を残す。電話がつながらなければメールを先に送る。第三に、内定承諾書や雇用契約書を受け取っていれば返送の要否を確認する。第四に、転職エージェント経由なら企業より先にエージェントへ伝える。企業への連絡はエージェントが担うのが通常である。
伝える内容は、辞退する事実、意思が固いこと、選考への礼の3点でよい。理由は1文で足り、他社名や年収額を言う義務はない。
エージェントへの連絡順を決めておく意味は小さくない。厚生労働省「令和7年転職者実態調査」(2026年9月25日公表)では、転職活動に民間の職業紹介機関を使った転職者が20.9%と、5人に1人にのぼる。
| 転職活動の方法(複数回答) | 転職者の割合 |
|---|---|
| 求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等 | 45.1% |
| ハローワーク等の公的機関 | 29.6% |
| 縁故(知人、友人等) | 22.2% |
| 民間の職業紹介機関 | 20.9% |
| 企業のホームページ | 13.5% |
メールの例文:承諾前・承諾後・エージェント宛
内定通知を受けた後、承諾前に辞退する
件名は「内定辞退のご連絡(氏名)」とし、礼、辞退の意思、理由を1文、礼の順で書く。
「株式会社〇〇 人事部 〇〇様。この度は内定のご連絡をいただき、ありがとうございました。慎重に検討した結果、誠に勝手ながら内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。他社から受けた内定を受諾することにしたためです。面接にお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり申し訳ありません。氏名・電話番号」
内定承諾後に辞退する
承諾後は、承諾を撤回する旨と入社予定日より前の連絡であることを明記する。民法627条1項の2週間は申入れの日から数えるので、入社予定日の2週間以上前に申し入れれば、入社日を迎える前に契約は終了する。
「株式会社〇〇 人事部 〇〇様。〇月〇日に内定を承諾いたしました〇〇です。誠に勝手ながら、内定の承諾を撤回し、辞退させていただきたくご連絡いたしました。家庭の事情により、〇月〇日の入社が難しくなったためです。入社に向けてご準備いただいた皆様に深くお詫び申し上げます。書類の返送など必要な手続きがあればお知らせください。氏名・電話番号」
転職エージェント宛
辞退する企業名、理由、企業への連絡を任せてよいかを書き、選考が続く企業があればその意思も添える。
「〇〇様。お世話になっております。〇〇です。ご紹介いただいた株式会社〇〇の内定は、検討の結果、辞退させていただきたく存じます。現職の担当範囲が広がり、転職の時期を見直すことにしたためです。株式会社〇〇へのご連絡は〇〇様にお願いしてもよろしいでしょうか。選考中の株式会社△△は引き続き進めたいと考えております。氏名」
辞退を減らすために内定前に確かめること
辞退の多くは、承諾後に労働条件の認識がずれて起きる。職業安定法5条の3は求人者に募集時の労働条件の明示を、労働基準法15条は契約締結時の明示を義務づけており、賃金と労働時間は定められた方法で示されなければならない。内定通知と一緒に労働条件通知書か雇用契約書を受け取り、基本給・諸手当・賞与の算定方法・所定労働時間・勤務地を確認してから承諾すれば、承諾後の辞退は減る。明示された条件が事実と違えば、労働基準法15条2項により即時に契約を解除できる。
年収は提示額に何が含まれるかを聞く。有価証券報告書の平均年間給与は賞与と基準外賃金を含む税込の値で、募集要項の想定年収も残業代や手当を含む場合が多い。読み方は有価証券報告書の平均年収の見方に、提示額の交渉は年収交渉の相場に、面接で労働条件を確かめる質問は転職面接の逆質問例にまとめている。
内定取消との違い:企業側の制約は重い
応募者の辞退と違い、企業側の内定取消は解雇として扱われる。厚生労働省の同Q&Aは、労働契約法16条(解雇権濫用)が内定取消に適用され、内定当時に知ることができなかった事実で、客観的に合理的かつ社会通念上相当と認められる場合に限り有効になると説明する。厚生労働省の青少年雇用機会確保指針は、採用内定時に文書で採用の時期・採用条件・内定取消事由を明示するよう企業に求めており、転職でも内定通知に入社日と取消事由があるかは確認する価値がある。現職を辞める手続きは、内定先の労働条件を書面で受け取ってから始める。退職の伝え方は面接の退職理由の伝え方も参照してほしい。
出典・データの取り方
- e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第627条・第628条:第627条1項:当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。第628条:期間を定めた場合でもやむを得ない事由があるときは直ちに解除でき、事由が一方の過失によるときは損害賠償の責任を負う。2026年11月時点(令和8年法律第45号による改正後)
- 厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A:内定や内々定を取り消す時、辞退された時の留意点:採用内定は始期付で解約権が留保された労働契約(大日本印刷事件 最高裁 昭和54年7月20日判決)。内定取消は解雇にあたり労働契約法16条が適用。労働者側の内定辞退は合理的な理由がなければ契約違反となり損害賠償責任を問われる場合があるが、労働契約の履行を強制することはできない。内々定の辞退は職業選択の自由(憲法22条1項)から原則として違法とは考えにくい
- e-Gov法令検索「職業安定法」(昭和22年法律第141号)第5条の3:求人者等は募集・求人の際に従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示し(1項・2項)、変更する場合は変更後の内容を明示する(3項)。賃金・労働時間等は厚生労働省令で定める方法で明示(4項)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)第15条:使用者は労働契約の締結に際し賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない(1項)。明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できる(2項)
- e-Gov法令検索「労働契約法」(平成19年法律第128号)第16条:解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする
- 厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(案)概要:青少年の雇用の促進等に関する法律第7条に基づく指針(平成27年厚生労働省告示第406号)の概要。採用内定を行うに当たっては、文書により採用の時期、採用条件及び採用内定の取消事由等を明示する。労働契約が成立したと認められる採用内定の取消しは、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効
- 厚生労働省「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」:採用内定者に対しては、文書により、採用の時期、採用条件及び内定の取消し事由等を明示するとともに、学校等を卒業することを採用の条件としている場合は内定時にその旨を明示するよう留意すること(改正前の指針の本文)
- 厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」:2026年9月25日公表。個人調査 表12 転職活動の方法(複数回答):求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等45.1%、ハローワーク等の公的機関29.6%、縁故22.2%、民間の職業紹介機関20.9%、企業のホームページ13.5%
| 2026年11月4日 | 初出 |